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有機農法には堆肥は重要な資材です。4年前に樹木を選定した枝のチップを頂きました。180cm×360cmの囲いの中の約半分くらいの中に、150cmほどの高さまで米糠150㎏を混ぜ合わせて積み上げました。その後カブトムシが大量に発生しました。切り返しの時スコップですくうと10匹くらいいました。全体では1000匹を超すのではないかと思うほどの数です。毎年野菜の苗を移植したとき株元に少量ずつ置いていますが、今年はその堆肥には樹木の固形物はなくなり、よく見るとカブトムシが食べて糞になったものでした。カブトムシが木くずをかみ砕いて食べてその結果素晴らしい堆肥になっていたのです。
9月中頃メスのカブトムシが数匹来ていましたので産卵していたのかもしれません。昨年頂いた新しい木くずを運び込んで用意をしました。カブトムシに堆肥を作るように指示したことはありませんが、毎年大量のカブトムシが堆肥の製造をしてくれています。しかも無給です。人間が作るとなると茸類の菌床におがくずを使用しますが、茸の栽培が終わった廃オガ屑でしょう。カブトムシの場合、体内を通して出てきたものでオガ屑くらいの大きさになっていて、すぐ土に混ぜても何の害もありませんし使いやすい肥料になっています。
自然には害をなす虫もいればカブトムシのように肥料つくりに励んでくれている虫もいます。私から見れば実によく働く、堆肥製造部門の従業員のような存在です。ただ今年は猪のために大量のカブトムシが食べられ犠牲になりました。今はワイヤーメッシュで入り口を塞ぎ、猪が侵入しないように防ぎました。今年産卵したのでまたカブトムシが木くずを食べて、元気に育ってくれればと願っているところです。
槇本清武
40年近く前になりますが、奈良県五條市の慈光会、梁瀬義了先生のところを訪れた時のことです。梁瀬先生のご案内で慈光会直営農場を見学させていただきました。農場の向かいの山は行政の開発する農場の造成で、山に大きなブルドーザーなどの重機が入って山肌を削り人工的に農地を作っていました。慈光会直営農場は大掛かりな造成ではなく、自然を生かして開墾された農場でした。畑にはキャベツなどの野菜が植えられていましたが、畑の傍に「虫魂碑」というのが建立されていました。「忠魂碑」というのは見たことがありましたが、「虫魂碑」というのは始めてで、さすがに仏教者、僧籍のある方だなと思いました。いつもご自宅でご近所の方を招き説法をされていましたが、先生の法話を楽しみに大勢の方が見えておられました。私も出席してお聴きしたことがありますがその頃は、有機農法について多く語られ、死の農法から生の農法への転換が国を救うことになる、救国の農法として力を込めて語っておられました。