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やってきた食糧危機

1975年9月11日、当時私が勤めていた大阪クリスチャン・センターに於いて「複合汚染・講演と座談の時」という講演会を開催しました。講師はそのころ朝日新聞に連載されていた、有吉佐和子さんの小説「複合汚染」に取り上げられていた、奈良県五條市の医師、梁瀬義亮先生と愛農会創設者の小谷純一先生でした。梁瀬先生は講演の中で「人類は一度水の洪水で滅んだ歴史がある。ところが今は水の洪水ではなく、毒の洪水で滅びようとしている。この洪水から逃れるために第二のノアの箱舟を作っていただきたい」。と語られました。小谷先生は「遠からず食糧危機が来る。その第1は質的危機、農作物が農薬や化学肥料などで汚染され、安全性が脅かされている。第2は量的危機、人口が爆発的に増え、食料不足から餓死者が出る。第3は人的危機、農業従事者が減り食糧生産ができなくなる」。というものでした。あれから44年経った現在、もう一つの食糧危機が迫ってきました。第4の食糧危機とでもいうべき気象災害です。わが国では毎年のように台風や大雨によって、山々が崩れ河川が氾濫し洪水に見舞われ、多くの人命が失われ、農地も土砂にうずもれ農業ができなくなっています。今年の大雨による農業被害は一千億円を超えたと言われています。世界的に見ても大干ばつや山火事、大洪水と自然災害は世界各国で発生しています。
 
我が国の食料自給率は40%を割り、自国だけでは国民の生命を守ることが出来なくなっています。この上、食料輸入の相手国に災害が発生すれば、食料の調達が出来なくなります。世界の食糧備蓄は50日分くらいと以前は言われていました。今は何日分の備蓄がされているのでしょうか、わが国では米の減反政策がとられ、米の生産量は減ってきています。自然災害、獣害による農業被害、後継者不足、大きな原因は農業で生計が立てにくいことです。私が子供のころ農家は5反の田んぼがあれば生計が立っていました。農作業以外に山仕事や土方仕事などやって現金収入があり、十分暮らせていました。ところが今はどうでしょう。農業には金がかかりすぎます。トラクター、コンバインなど米つくりになくてはならない、籾摺り機、乾燥機など、農業機械はとても高価なものになっていて、農業収入で機械を購入するのは困難です。農作物の価格が安すぎます。この上海外から安い農産物が輸入されると太刀打ちできません。消費者の皆様も懐具合と相談して安い方へ流れるのが多いのではないでしょうか、今や、確実に食糧危機がそこまで迫って来ています。自ら守ることも考えなければなりません。少しでも空いた土地があればたとえ葱の1本でも植えていく、プランターで菜っ葉でも育ててみるとか、小さいことから実行してみることです。大きなことは出来なくても、小さいことの積み重ねが大事だと思います。貴方はこの食糧危機にどう立ち向かいますか。
 

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