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季節と食、旬とは

季節感がなくなり、何が旬のものかわからないとはよく聞くことです。例えば夏は気候的には強い陽です。陽の中では陰のものが育ちやすいのです。暑さに負け ないもの、冷やす力の強いものが育ちます。作物では蔓になって上に伸びるもの、土の上で横にはうもの、土の中で横に伸びるものなどです。茎の中が空洞で あったり暑さに耐えられるものしか成長しないものなのです。茄子、胡瓜、トマトなど典型的な夏野菜です。胡瓜でよく言われるのは、陰性の度合が胡瓜1本と水1升が同じであるというように、暑さに対して強く、夏バテ防止には11本の胡瓜を食べればよいと言われる訳です。仮に逆のもの、夏に体を温める作用のあるものを食べると違和感を覚えます。夏は体を冷やし暑さから守られるものが必要となるのです。

ただ身体が冷える体質であるとか、弱いところがあるとか、人それぞれ個体差がありますので、食養の立場からはそれなりに考え対処しなくてはなりません。

 

旬がなくなった、或いは季節感がわからなくなった、とはもうずいぶん以前から言われてきたことではありますが、自然界に見る季節の移り変わりからおおよそのことはわかるはずです。年によってそのときの気象によって多少のずれがありますが、春は山の木々も葉が落ちてまるで枯れ木ではないか、と思われる木の枝々が少し膨らんで、緑色かかったように見えてきます。春の態勢に入ってきているのがわかります。この時期畑では白菜、キャベツ、大根なども茎が競りあがり、葉の付け根につぼみが出来てきます。暖かい日が続きますとキャベツなどは外葉が破裂して、一気にトウが立ってきます。この頃が端境期と言われ、冬から春に変わるときで作物が変わってきます。彼岸前に種をまくか、彼岸後に種を蒔くか農家は判断に苦しみますが、12月から1月頃に蒔いた菜類は大きく成長しないまま、トウ立ちをして花を咲かせます。3月始め頃に蒔いたものも同じようにすぐ花を咲かせます。丁度この頃はトウ立ちをしたものを食べる時期で、菜種先のようなものが中心です。山には山菜が食べ頃を迎え、畑に作物がない時期は山に行けば手に入ります。春先の特徴は短期間で上に伸びるものが出来る時期です。菜種先のように若干苦味を持ったもの、山菜の蕗の薹(とう)蕨(わらび)蓬(よもぎ)でも、芹でも、癖のあるものが多く、これらのものは冬の間、体内に溜まった毒素を排泄する働きがあるといわれ、自然の理に叶った貴重な食材です。

 

野菜は薬といわれます
「野菜は薬だ」という題名の本もあるくらい、野菜にはビタミン、ミネラルなど、澱粉やたんぱく質以外に貴重な栄養素を含んでいます。果実などに含まれるビタミンなどの中には、加熱することによって失われるものもありますが、野菜の中には加熱しても失われないものもあります。生でジュースにして飲む場合、薬効として期待できるものもあります。生と加熱したものとでは作用が違うからです。但し、加熱したからと言って効果が全くなくなると言うものではありません。

 

露地栽培と施設園芸
一般的に有機農法といえば露地栽培と思いますが、有機でも施設、ハウス栽培もあります。無加温で雨よけ栽培が目的であれば、路地と栽培時期もあまり変わりませんが、加温栽培であれば冬でもトマトや胡瓜が出来ますし、メロン、西瓜など正月に食べられるわけです。旬に路地で育った野菜と加温ハウスで季節はずれに栽培したものとでは、栄養価が7倍も違うということを聞いたことがあります。価格は栄養価を考えて判断しないと誤ることになると思いました。

 

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